近年、さまざまな業界で「DX(デジタルトランスフォーメーション)」の推進が重要な経営課題となっています。日本では、2018年に経済産業省が「DX推進ガイドライン」を公開したことをきっかけに、DXに対する取り組みが広まり各業界において新たなビジネスモデルやチャネルがうまれるだけでなく、従業員の生活や働き方も大きく変化してきています。
しかし一方で、DXの取り組みに踏み切れておらず、模索を続けている企業も多いのではないでしょうか?
様々な業界・業種で、DXを推進する1つのツールとしてSaaSを活用するケースが多くありますが、今回は何故DXにSaaSが必要なのか、また安心して利用するために留意すべき点は何か、などについて解説します。
DX化の進捗状況
【引用】DX推進ポータル
DX化の進捗状況を知る上で指標となる一つに「DX認定制度」があります。
DX認定制度は、2020年5月15日に施行された「情報処理の促進に関する法律の一部を改正する法律」に基づき2020年11月から開始された制度で、IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)が運営するDX認定制度事務局が各種相談・問い合わせ・認定審査事務を行い、経済産業省が認定するというものです。
DX認定を受けることで、「税額控除などの支援を受けられる」「DXに積極的に取り組む企業としての社会的信用/ブランドイメージ等の向上」「DX銘柄の応募資格が得られる」など様々なメリットもあるため、この制度によって認定された企業は年々増加傾向にあり、DXへの取り組みが加速していることが見受けられます。
DX化が進む背景
加速するDXへの取り組みですが、改めてDX化が進む背景とは何なのでしょうか?
》背景1:働き方の変化
一つには「働き方の変化」が挙げられます。
2011年に発生した東日本大震災、2020年から始まったコロナウイルスの流行といった出来事をきっかけに、多くの企業が在宅勤務やリモートワークなど、場所や環境に依存しない仕事環境の構築に取り組んできました。
その他にも、女性の社会進出、働き方の多様化などが挙げられ、企業にとって場所を問わない仕事環境を整えることは今や必須と言えますし、逆にこうした環境が整わない企業では柔軟な働き方が出来ず人材の確保が困難となり、人材不足という問題も生じています。
こうした問題を解決するには、テクノロジーの活用が必要であり、アナログに行われていた業務、レガシーなシステムで制約のある中で行われてきた業務を効率化し、どこにいても仕事のパフォーマンスを低下させることなく働くことが出来る環境を構築することが必要となりました。
》背景2:ビジネス環境の変化
また、もう一つには「ビジネス環境の変化」が挙げられます。
近年の日本のビジネス環境は、人口の低下により市場規模の縮小、日本国内のみならず海外企業との競争という厳しいビジネス環境にさらされています。更に従来に比べ新たな製品やサービスが生み出されるスピードも早くなり、それらを利用する顧客の思考やニーズも従来に比べ早く変化するようになってきており、ビジネスのあり方自体が変化しています。
こうした状況において、継続して顧客を獲得していく為には、単に製品やソリューション、サービスを販売するだけでなく、他には無い価値を提供する必要がありますが、従来からの業務に時間を要し、新たな価値を創出することに時間を割けないのが現実です。
しかし、DXにより、従来からある業務を自動化し、顧客とのコミュニケーションに掛ける時間を増やすことに繋げたり、これまで肌感覚で行っていた経営判断を、客観的に捉えられるデータという形に置き換え分析し、競合他社との差別化に繋げるといったことが出来ることが期待されます。
全てをデジタルに置き換えることがDXの目的ではありませんが、少しでも市場で優位なポジションに立つ為にデジタルの活用が必要不可欠となっています。
なぜSaaS活用がDXを推し進めるのか?
DX化を推し進める上で、「SaaS」と対比される存在として「オンプレミス」がありますが、オンプレミス型のシステムが足枷になるケースがあります。
その理由がどういった点にあるかについて2つご紹介します。
》理由1:ビジネスや環境の変化に柔軟に対応できるか?
オンプレミス型システムのメリットは「カスタマイズ性」が高い点です。
しかし、カスタマイズ性の高さを十分に活かす為には、それを設計・設定し、運用をしていくことの出来るIT人材が揃っていることが必須です。
「2025年の崖」という形でIT人材不足が叫ばれる中、こうした人材を自社に確保し続けることは難しくなっています。
また前述の通り、災害時の対応の必要性、仕事環境・ビジネス環境の急速な変化に対して迅速に対応することが求められる中、オンプレミス型のように、機器の調達、システムの設計・設定、といったことに時間を要するシステムの有り方では対応がしきれないことは容易に想像が出来るのではないでしょうか。
オンプレミス型が一概に悪ではありませんが、上記の観点で捉えた場合に、オンプレミス型とSaaS型、本来的にどちらを選択した方が自社にとってメリットが出やすいか、という視点でシステムの有り方を見直してみるとDX化が加速していくのではないでしょうか?
》理由2:新しいことを推進するリソースを確保できる
理由1でも触れた「オンプレミス」と「SaaS」の違いについて、責任範囲という観点からも捉えてみます。
上図の通り、オンプレミスの場合はデータからハードウェアまで、全ての要素に関して検討し、用意し、運用管理していくリソースが必要となります。従来のように、会社に出勤し、社内ネットワークだけで業務が完結出来ていた時代であれば必要となるリソースもまだ限られていましたが、社外からスマホ等活用をしてアクセスをしたり、メールやインターネット閲覧といった形で外部との接点を多く持ちながら仕事を進めることが増え続ける中で、オンプレミス型を運用していく負担は大きくなり続けることが予想されます。
一方でSaaSの場合、アプリケーション以下の部分をSaaS提供ベンダーに管理を委ねることが出来る為、自社として考えるべきは「データ」に限定されます。
データへのアクセスをどのように行い、データをどのように活用するのか、こうした部分に絞ってリソースを割くことが出来る為、新しいことを推進するリソースを確保し易いということが言えるかと思います。
SaaSを安心して利用するコツとは?
SaaSを活用することで、ビジネスや環境の変化に柔軟に対応することができ、新しい業務やビジネスを推進するリソースを確保することもでき、DX化を推進する上で欠かせない要素であることを前述しました。
そんなSaaSを運用管理する上で重要なのが「セキュリティ」です。
DXの根幹を成すデータは自社にとって重要な情報ですが、これが第三者の手に容易に渡ってしまうようでは、折角推進したDXも水の泡になりかねません。
SaaSは管理の手間もほとんどなく、インターネットさえ繋がればどこからでもアクセスができて便利な反面、第三者によるデータへの不正アクセスも容易にしてしまう問題が生じます。
これを防ぐために、SaaS毎に別々のパスワードにし、複雑に設定をするという方法もありますが、ユーザが覚えきれず、せっかく便利なSaaSを有効に利用出来ないといった問題にも繋がりかねません。
こうした問題を解消する上でおすすめなのが、認証基盤ソリューション「HENNGE One」です。「HENNGE One」は、社内で利用する多種多様なアプリケーションの統合管理により、IDやパスワードの失念や漏洩といったトラブルを防止できます。また、一度のユーザー認証で複数アプリを利用できるシングルサインオン機能を採用しているので、複数アプリを管理する際の煩雑な問題がワンストップで解決可能です。
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まとめ
DXが進むことで、業務効率の向上、情報の可視化、製品の改善といった様々なメリットが得られますが、こうしたメリットは土台となるセキュリティがあってこそです。
HENNGE Oneはこうしたセキュリティの土台をワンストップで提供することができる為、DX化を進める際にはご検討されてみてはいかがでしょうか?
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