デジタル時代のビジネスにおいて、ファイルの共有と管理は不可欠です。本記事では、ファイル共有サービスの概要やメリット、おすすめのサービスを解説します。大容量ファイルの安全な送信、効率的な社内ファイル管理、複数人での同時編集、そして低コストでの運用など、ファイル共有サービスがもたらす利点を知りたい方はぜひご一読ください。
ファイル共有サービスとは?
ファイル共有サービスとは、データやファイルを複数の人々と共有するためのオンラインプラットフォームです。主に、ファイル転送サービスとクラウドストレージの2つのタイプがあります。
ファイル転送サービスは、一時的にファイルをアップロードして、指定された受信者にダウンロードリンクを共有します。この方法は一般的に大きなファイルを送信する際に便利ですが、ファイルの永続的なストレージや管理機能は限られています。
クラウドストレージは、ファイルをクラウドに保存し、指定されたユーザーへのアクセスを許可するというシステムです。多くの場合、リアルタイムでの編集やバージョン管理、高度なセキュリティ機能が提供されます。
機能はサービスごとに異なり、一部のサービスではリアルタイムでの共同作業や、高度なセキュリティ対策、アクセス権限の詳細設定といったオプションが用意されています。
クラウドストレージを活用するメリット
大容量ファイルも共有できる
クラウドストレージは、社内外で大容量のファイルを簡単に送信できる便利なツールです。従来のメールやチャットアプリでは、送信できるファイルにサイズ制限があり、大容量のデータを送れません。特に、ビデオファイルや高解像度の画像、大規模なプロジェクトで使用する多数のドキュメントなど、サイズが大きいファイルを効率よく送信する必要がある場合、非常に有用です。
近年、PPAP(Password Protected Attachment Protocol)と呼ばれる「メールでパスワード付きのZIPファイルを送り、別のメールでパスワードを送る」という方法が問題視されています。この方法は、メールの盗聴やマルウェア感染など、セキュリティ面でのリスクが高く、また誤送信の可能性もあります。日本政府はPPAPの危険性からその使用を廃止することを発表し、多くの企業もこの方針に従っています。
ファイル共有サービスは、PPAPのようなリスクを軽減しながら、大容量のファイルを安全に送信する代替手段として使えます。
社内のファイル管理がしやすくなる
クラウドストレージでは、ファイルのアクセス権限を細かく設定できるため、特定のプロジェクトメンバーだけがアクセスできるようにしたり、全社員が閲覧可能な公開フォルダを作成したりといった変更もできます。これにより、セキュリティを確保しながら効率的なファイル共有が可能になります。
従来のファイル管理方法では、各部署やプロジェクトごとに異なる場所へファイルが保存されていることが多く、情報の集約が難しい傾向がありました。クラウドストレージを導入することで一元的な情報の管理が可能になり、必要なファイルをすぐに見つけられます。
また、多くのクラウドストレージサービスは、自動的にバックアップが取られるのも魅力です。従来のように手動でバックアップを取る必要がなくなり、万が一のデータロスにも迅速に対応できるようになります。
複数人で同時に編集できる
クラウドストレージの最大のメリットは、複数人で同時に編集できる点です。この機能は、特に社外のパートナーとも簡単にデータを共有できるため、業務の効率化におおいに貢献します。
従来のファイル共有方法では、1人が編集中のファイルは他の人が触れない、といった制限がありました。しかし、クラウドストレージでは、ひとつのファイルを複数人が同時に確認したり、編集したりと、必要な作業を即座に行うことが可能です。
低コストで運用できる
クラウドストレージサービスは低コストなのも魅力のひとつです。多くのサービスは月額利用料金が定額で、ユーザー数に応じて料金が加算される形態を取っています。無駄な出費を抑えつつ、必要な機能だけを選んで利用することが可能です。
セキュリティ対策も万全で、高度な暗号化技術や二段階認証など、データの安全性を確保するための機能を備えています。自社でサーバーを設置して運用するよりも、はるかに低コストで安全なデータ管理が可能です。
ただし、無料のサービスには注意が必要です。無料プランでは機能が限定されている場合が多く、ビジネスでの利用には不向きな場合もあります。
クラウドストレージサービスのおすすめ5選
Box
Boxは日本国内では1万社以上が利用するクラウドストレージサービスです。
保存容量に制限がなく、大量のデータを安心して保存できます。1,500以上のアプリと連携し、作業を効率化できる点も魅力的です。
Boxはセキュリティ面も優れており、アクセス権限を最大7段階まで設定することが可能です。
Googleドライブ
Googleドライブは、Googleによって提供されるクラウドストレージサービスです。
拡張機能を使用することで、インターネット接続がない状況でもファイルへのアクセスや編集が可能です。
マルウェア、スパム、ランサムウェアに対する組み込みの保護機能を備えており、ファイルへのアクセスは暗号化されています。共有されたファイルは予防的にスキャンされ、セキュリティリスクが検出された場合にはスパムフォルダに格納され、30日経過後、完全に削除されるようになっています。
OneDrive for Business
OneDrive for Businessは、ビジネス環境でのファイル共有とコラボレーションを効率化するためのクラウドストレージサービスです。Microsoft社によって提供されています。
Office 365製品(Word、Excel、PowerPointなど)との連携が特長のひとつで、クラウド上で直接ドキュメントを編集したり、複数人での同時編集が容易にできます。
また、スマートフォン、タブレット、デスクトップなど、多様なデバイスからアクセスできるため、場所や時間に縛られない作業が可能となります。
データの保管先が国内である点も大きなメリットです。データ保護法や企業の内部規定に対するコンプライアンスを確保しやすくなります。
Dropbox Business
Dropbox Businessは、企業向けのクラウドストレージサービスです。
ファイルの同期速度が速く、また登録されたデバイス以外からのアクセスを制御したり、チームのアクティビティを監視できるなど、セキュリティ機能も充実しています。
Standardプランを除き、容量制限がないのも魅力的です。これは特に、大量のデータやファイルを扱う業務に役立ちます。
Dropboxにはプロジェクト管理機能がある「Dropbox Paper」が用意されており、テレワークでも仕事の進捗状況を簡単に把握できます。
Fleekdrive
Fleekdriveは、企業向けに特化したクラウドストレージサービスで、ビジネスのニーズに応じて選べるTeam、Business、Enterpriseからなる3つのプランを提供しています。
操作記録を最長5年間保存できるため、企業が法的な要件や監査に対応する際に有用です。過去のデータを簡単に参照でき、問題が発生した場合にも迅速に対応可能です。
もうひとつの特長は、チャットで会話しながらリアルタイムでファイルを編集できる点です。チームメンバーが同時に作業を行えるため、効率的なコミュニケーションが実現します。
まとめ
クラウドストレージは、現代のビジネスに必須ともいえる有用なツールです。大容量のファイル送信から社内のファイル管理、リアルタイムでの複数人編集、低コストでの運用まで、多様なニーズに対応する機能が提供されています。特に、セキュリティに関する機能は、データの安全性を高める重要な要素です。それぞれのビジネス環境に最適なサービスを選ぶことで、業務効率とデータ管理の質を高めることが可能となります。
脱PPAPを実現し、ファイル共有のセキュリティを向上させるためには、クラウドセキュリティサービス「HENNGE One」のようなソリューションの活用が有用です。HENNGE Oneでは、「HENNGE Secure Download for Box」により、クラウドストレージサービスと連携し、共有したファイルをBox上で管理できるのはもちろんのこと、メール誤送信対策機能と併用することでセキュアなファイル共有を実現します。ぜひ導入を検討されてみてはいかがでしょうか。
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