小売業におけるDXとは? 導入事例や課題について解説

 2023.09.22  クラウドセキュリティチャネル

デジタル化の進展や新型コロナウイルスの影響などによって消費者の購買行動は多様化しており、小売業界ではビジネスモデルの変革が求められています。そこで重要な課題となるのがDX(デジタルトランスフォーメーション)の実現です。本記事ではDXの概要や課題、小売業で活用されている技術などについて解説します。

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を活用し、ビジネスひいては人々の生活を抜本的に変革することを指します。業務のIT化やデジタル活用といった部分最適にとどまるのではなく、AIやIoTなどのデジタル技術を活用し、経営体制やビジネスモデルを変革して、全体最適を図り、企業の競争優位性を確立することがDXの目的です。

IPAの「DX白書2023」によると、卸売・小売業に携わる企業で、2020年度時点でDXへの取り組みを「実施している」と回答したのは全体の22.6%でした。情報通信技術業や金融・保険業などと比較すると取組状況は劣るものの、デジタルチャネルの戦略的活用を推進する企業は卸売・小売業でも増加傾向にあります。

参照元:DX白書2023(p.47)|独立行政法人情報処理推進機構(IPA)

小売業が進めるべきDXについて

小売業界でDXを進めるにあたり、重要な 5 つの要素を紹介します。

1. OMO(Online Merges with Offline)の推進

OMOとは、ECサイトか実店舗かといった枠にとらわれない、オンラインとオフラインとを融合させたマーケティング戦略のことです。例えば、オンラインで予約した商品を実店舗で受け取ったり、SNSのプロモーションで得た特典を実店舗で利用したりといった仕組みが挙げられます。OMOの目的は、顧客へのシームレスな購買体験の提供であり、DXを推進させるためには重要な要素のひとつです。

2. ECサイトの展開

ECサイトの展開も小売業のDX推進に欠かせない戦略のひとつです。ECサイトのメリットは販売チャネルを多様化させることだけでなく、アクセス解析を通して消費者の購買行動や顧客ニーズを分析できることにもあります。分析結果によって在庫管理の最適化や高精度な需要予測が可能になり、キャッシュフローの改善や顧客満足度の向上などにつながります。先述したOMOマーケティングを展開するためにも、ECサイトの戦略的展開は欠かせない施策です。

3. 実店舗などの運営効率化

DXの本質は、デジタル技術の活用によって既存の経営体制に変革を促し、市場の競争優位性を確立することにあります。そのためにはデジタル化を推進するだけでなく、実店舗などの運営を効率化する仕組みも必要です。代表的な施策としては、レジ機能を搭載したスマートショッピングカートやセルフレジの導入、POSシステムとAIとの連携によるリアルタイムな在庫管理などが挙げられます。

4. 物流の効率化

ECサイトの普及にともなって小口配送が増加し、物流コストは増大していく傾向にあります。物流領域でのDXを推進するためには、サービスロボットによる単純作業の自動化や、在庫管理システムと発注システムの一元化、IoTによるピッキングの効率化といった施策が必要です。これらの施策を実施することによって、人による受発注管理や在庫管理から脱却できれば、物流業務を大幅に効率化できます。

5. 社内業務全体を最適化

小売業のDXを実現するためには、店頭での接客対応や販売、ECサイトの運営といったコア業務だけでなく、バックオフィスを含めた社内業務全体を最適化・効率化する仕組み作りが欠かせません。そのための施策としては例えば、クラウドサービスを活用することによってビジネスチャットで社内コミュニケーションの活性化を図ったり、コラボレーションツールを活用して全社横断的な業務連携を推進したりといったことが挙げられます。

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小売業におけるDX導入事例

小売業のビジネスモデルで活用されている先進的なデジタル技術の導入事例として、電子棚札、VR店舗、キャッシュレス決済のセルフレジ、需要予測システム、AI肌診断を紹介します。

事例1:電子棚札

電子棚札は、商品の価格や概要などの情報をデジタル表示するデバイスです。某家電量販店では、この棚札を POSシステムと連動させることによって価格表示の正確性やスピードを大幅に改善しています。

事例2:VR店舗

VR店舗とは、3D技術を駆使することによって仮想空間に構築した店舗のことです。某大手百貨店では、ユーザーの分身となるアバターを操作しながらショッピングができるVR店舗を展開し、ECサイトとは異なる新しい購買体験を提供しています。

事例3:キャッシュレス決済のセルフレジ

消費者自身が支払い手続きを行うキャッシュレス決済のセルフレジは、今後さらに普及すると見込まれています。例えば某百貨店では、スマートフォンを使って消費者がバーコードをスキャンし、そのまま専用レジで会計できるサービスを提供しています。

事例4:需要予測システム

需要予測システムとは、売上データや市場動向などを分析し、将来的なトレンドや天候の変動による需要の変化などを予測するシステムのことです。某大手スーパーマーケットでは、AIが搭載された需要予測システムを活用し、在庫不足による販売機会の損失や在庫過多によるキャッシュフローの悪化といったリスクの軽減に成功しています。

事例5:AI肌診断

スマートフォンで顔を撮影すると肌状態を分析し、最も適した化粧品を教えてくれるアプリケーションがAI肌診断です。某ドラッグストアでは、AI肌診断の活用によってカウンセリングの省人化を実現しながら、ユーザーに相性のよい化粧品を提示するという効率的なセールスの仕組みを構築しています。

小売業がDX化を進める上での3つの課題

小売業でDXを推進するためには、次の3つの課題を解決する必要があります。

課題1:既存システムとの共存・連携

国内でDXの推進が急務となっている背景にあるのはレガシーシステムの存在です。経済産業省は2018年に発表した「DXレポート」のなかで、多くの企業が老朽化・ブラックボックス化したITシステムを抱えており、それがDXの実現を阻む足枷になっていると指摘しています。DXを推進するためには、レガシーシステムを刷新し、新システムと連携させる施策が不可欠です。しかしITシステムの置き換えには、データ移行時のファイルの破損や消失、ビジネスプロセスの中断、投資コストの増大といったリスクをともなうため、専門的な知見にもとづく慎重なプロジェクト設計が求められます。

参照元:DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~|経済産業

課題2:DX化を進める目的・戦略の明確化

冒頭で述べたように、DXの目的はAIやIoTなどのデジタル技術を活用し、経営体制やビジネスモデルを変革して、全体最適を図ることです。しかし、DXを推進する本質的な目的が不明瞭であるために、単なるIT化やデジタル活用で終わってしまっている企業も少なくありません。DXの推進そのものは手段でしかなく、本質的な目的はその先にある経営改革であり、競争優位性を確立することです。そのためには企業のビジョンを明確化し、自社の存在意義と在るべき姿を組織文化として浸透・定着させる必要があります。

課題3:デジタル人材の確保

市場の競争優位性を確立するためには、ITインフラを最新のものに置き換えるとともに、それを戦略的に活用できるデジタル人材が必要です。しかし、少子高齢化によって生産年齢人口の減少が加速する我が国において、高度なデジタル人材を採用・育成するのは簡単ではありません。ITインフラの変革を進めたとしても運用のリソースを確保できず、システムのサイロ化やセキュリティ管理の煩雑化を招いてしまうかもしれません。いかにしてIT分野に精通したデジタル人材を確保するかも、DXを推進するために解決すべき課題です。

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