ゼロトラストの市場規模の動向や需要の変化について解説

 2022.08.17  クラウドセキュリティチャネル

インシデント損害額調査レポート2021年より徹底解説

テレワークやクラウドネットワークの急速な普及により、従来型のセキュリティでは情報資産の保護が難しくなってきています。その中で、IT担当者を中心に注目を集めているセキュリティ対策が「ゼロトラスト」です。本記事ではゼロトラストの概要や市場規模、今後の展望、必要とされる理由、世界の市場、リーダー企業などについて解説します。

ゼロトラストとは?簡単にわかりやすく解説

「ゼロトラスト」とは「Zero(しない)」「Trust(信頼)」からなる語で、「すべてを信頼しない」という発想の基にセキュリティ対策を行う考え方です。従来のセキュリティ対策では、ネットワークを社内と社外に分け、その境界線上にファイアウォールなどのセキュリティツールを設置して、外部からの不正アクセスやサイバー攻撃を防御する「境界型防御」という考え方が主流でした。

しかし、現在はクラウドとモバイルが普及したことで、従来の「内側」「外側」の境界線があいまいになったため、十分なセキュリティ対策は難しくなっています。ゼロトラストでは、内外問わずすべてのアクセスを信頼しないことを前提に、通信経路を暗号化したり、多要素認証やワンタイムパスワードなどでユーザー認証を強化したりといった、さまざまなセキュリティ対策を講じます。

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ゼロトラストの市場規模や今後の展望とは

以下では、近年注目を集めているゼロトラストの市場規模や市場動向、これからの展望について解説します。数値に関しては、市場調査レポートプロバイダーのReport Oceanが2021年10月19日に紹介したレポートを参照しています。

2020年のゼロトラストの市場規模は約196億米ドル

ゼロトラストセキュリティ市場は、年々増加しているサイバー攻撃の脅威や、組織に求められるコンプライアンス規制、ネットワークインフラの技術革新など、さまざまな理由で成長を遂げています。クラウドとモバイル利用の急増により、ゼロトラストセキュリティのもとネットワークを実装する需要は確実に高まっています。

Report Oceanのレポートによれば、2020年のゼロトラストセキュリティの世界市場規模は約196億米ドルです。世界的なグローバル企業だけでなく日本国内の中小企業でも、ネットワークやITインフラ機器をウイルス侵入やサイバー攻撃から守るために、ゼロトラストセキュリティの需要が増しています。

ゼロトラストの市場規模は2021~2027年までに602.5億米ドルに拡大する予想

Report Oceanのレポートによれば、ゼロトラストセキュリティの市場規模は2021年~2027年の間に、17.4%以上の安定した成長が予想されており、金額に換算すると約602.5億米ドルに拡大するとのことです。

2022年までに最新ビジネスアプリケーションの約80%は、ゼロトラストセキュリティを導入したネットワークフレームワークを通じてアクセスするようになる見込みです。また2023年には、世界の企業の約60%がVPN(仮想プライベートネットワーク)によるリモートアクセスを順次廃止していくと推定されています。

ゼロトラストセキュリティ市場は、ソリューション・展開方法・認証・組織の規模・業種・地域などで分かれており、特にクラウドタイプのソリューションの需要が高まり、全体市場の成長をけん引していくと予想されます。

今後ゼロトラストの需要が高まるとされる5つの理由

今後、ますます需要が高まると予想されるゼロトラストのセキュリティモデル。ここでは、その主な理由を5つ取り上げ、それぞれ詳しく解説します。

新型コロナウイルス感染の影響による働き方の変化

あらゆる業種でデジタル化が加速する中、新型コロナウイルスの影響も加わり、従業員の勤務スタイルがテレワークやモバイルワークへと急激にシフトしています。それにつれてクラウドサービスの利用が増加した一方で、サイバーセキュリティの脆弱性のリスクもまた増しました。

日本国内で推進されているデジタルトランスフォーメーション(DX)においても、ゼロトラストのセキュリティモデルは欠かせません。そのため、企業のデジタル資産を保護するための環境を整備するニーズは、確実に高まっているのです。

従来のセキュリティモデルでは対応しきれないケースも

従来のネットワークセキュリティは、「社内は安全、社外は危険」という考えのもと、その境界線にゲートウェイを設置することで、外部からの不正アクセスや脅威を遮断し、情報漏えいを未然に防ぐモデルが一般的でした。一部の従業員が社外のデバイスからアクセスする場合、VPNを使った社内ネットワークを利用し、ゲートウェイから外に出ていくという手順でした。

しかし、従来型のセキュリティでは一部のテレワーク利用しか想定していないため、全従業員がテレワークを一度に利用すると、ネットワークへのアクセスが滞ってしまいます。そのため境界を区切らない、ゼロトラストセキュリティが必要とされているのです。

インターネットブレイクアウトでも不安は消えない

企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するにあたり、ネットワーク上のトラフィックの増加や、複数のデバイス管理に対応できるように、WANの整備が有効とされます。

仮想的なWANを構築し、ソフトウェアで一元的に管理するSD-WAN(ソフトウェア定義型ワイド・エリア・ネットワーク)を用いれば、各拠点からダイレクトにインターネットやクラウドサービスにアクセスできるインターネットブレイクアウトが可能になります。ただし、同時にセキュリティ上のリスクも抱えてしまうため、DX推進に不安が残ります。

サイバー攻撃頻度が増えている

近年増加しているのが、侵入しやすいネットワークインフラをターゲットにしたサイバー攻撃です。これらはエンドポイントやネットワーク、クラウドアプリケーションなどを攻撃し、重要な情報を流出させます。このようなターゲット型サイバー攻撃の増加により、ビジネスがストップしたり、顧客情報や知的財産など経営上の損失を被ったりするなど、企業の事業活動に悪影響が生じる可能性も高まっています。

セキュリティ関連の政府規制の強化

世界市場では、すべての発展途上国でデジタル化が推進されており、今後は情報セキュリティに関して政府の規制が強化される可能性もあります。

例えば、EUでは一般データ保護規則が設けられ、アメリカのカリフォルニア州では消費者プライバシー法が設けられるなど、政府や行政の規制が各所で見られます。こうした法律の規制に対応するため、ゼロトラストセキュリティはますます必要とされるでしょう。

ゼロトラスト市場の成長における懸念点

特にセキュリティの重要性が高い銀行や金融サービス、保険などの分野は、最先端のセキュリティ技術を求めているため、ゼロトラスト市場を成長させる可能性があります。一方、多くの小規模企業はネットワーク環境を利用していても、ゼロトラストに関する専門知識がなく、導入予算もないかもしれません。それゆえ小規模企業の存在が、ゼロトラスト市場の成長スピードを鈍化させる可能性が懸念されているのです。

ゼロトラストセキュリティ市場の地域

世界のゼロトラストセキュリティ市場を地域に分けると、北米・欧州・アジア太平洋・南米・中東およびアフリカがあります。地域別の市場動向は、生体認証やAI、クラウドサービスソリューションなどを手がける大手ハイテク企業の多い北米市場が、最大シェアを占めと予測されます。

ゼロトラストセキュリティ市場業界のリーダー企業

世界のゼロトラストセキュリティ市場をけん引するリーダー企業は、以下の通りです。

  • Cisco Systems Inc.
  • Akamai Technologies
  • Palo Alto Networks
  • Okta Inc.
  • Check Point Software Technologies
  • Trend Micro Inc.
  • IBM Corporation

まとめ

新型コロナウイルスの影響によりテレワーク化が加速する中、従来型のセキュリティモデルでは、もはやクラウドネットワークの利用で増大しているセキュリティリスクに十分に対応できなくなっています。すべてのアクセスをユーザー認証し、組織の情報資産を守るゼロトラストセキュリティは、ニューノーマルの時代において不可欠といっても過言ではありません。世界では北米を中心に市場の成長が見込まれており、日本国内でもニーズが高まっていくのは確実でしょう。

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