ネットワークセキュリティの必要性は?種類や対策について詳しく解説

 2023.08.15  クラウドセキュリティチャネル

近年、ネットワークセキュリティの重要性が急速に高まっています。サイバー攻撃の進化により、企業や個人のデータが狙われるリスクが増しており、安全なネットワーク環境の構築が喫緊の課題となっています。
本記事では、なぜネットワークセキュリティが必要なのかに加えて、様々なセキュリティ対策や種類について詳しく解説します。

どこから始める?セキュリティ対策

ネットワークセキュリティとはネットワークを外部の脅威から守ること

ネットワークセキュリティとは、コンピューターや企業ネットワークを外部の脅威から守るためのセキュリティ対策を指します。近年ではテレワークの普及が進み、通信回線を介したネットワーク上で仕事を行う企業が増えました。このため、ネットワークセキュリティの重要性が高まっています。

企業のサーバーや、コンピューター、タブレットなどのデバイスには、機密情報や、顧客、社員などの個人情報といった情報資産が保存されています。これら重要な情報資産の保全は、企業経営にも影響するため、ネットワークを通じて仕掛けられるサイバー攻撃への対策が必要です。サイバー攻撃には、ウイルス攻撃や盗聴、不正アクセスなどさまざまな種類があり、その手口は日々進化しています。このため、攻撃から資産を守るために、攻撃の多様化にも対応できるネットワークセキュリティが求められるようになりました。

ネットワークセキュリティの必要性

ネットワークセキュリティが注目されている一番の理由は、サイバー攻撃の高度化・巧妙化です。現在、私たちの生活やビジネスにおいては、あらゆるデータがネットワーク上に集約されていると言っても過言ではありません。当然、サイバー攻撃に晒されるリスクも増します。
近年のサイバー攻撃は、駆使する手法が高度化しているだけではありません。その目的も、個人に対する不正アクセスから、組織の機密情報への侵入、国家間のサイバー戦争まで多様化しています。そのため、ネットワークセキュリティも絶えず進化させ、より堅牢な対策を行うことが必要です。
クラウドサービスが普及したことにより、個人や企業の重要な情報に、より多くの人がアクセス可能になりました。すなわち、これは、クラウドサービス上の情報がサイバー攻撃の標的となる可能性を示唆しています。たとえば、個人情報や金融データ、重要なビジネス文書などに不正アクセスがあった場合、個人や組織が多大な損害を被ります。
適切なセキュリティ対策を講じることで、外部の脅威からネットワークを守り、内部の機密情報や個人データを保護できます。加えて、定期的なセキュリティ対策の見直しや従業員への教育も欠かせません。セキュリティ意識を高めることも、安全なネットワーク環境の構築に不可欠です。

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ネットワークセキュリティの2つの形態

ネットワークセキュリティは、サイバー攻撃など外部からの脅威に対する対策と内部不正への対策の2つに分けることができます。外部と内部、両方からの脅威に対処できる仕組みを構築することが重要です。

サイバー攻撃対策

サイバー攻撃の手法には、不正メールやコンピューターウイルス、マルウェア、ランサムウェアなど多数の種類があります。また、サイバー攻撃被害は年々増加しており、攻撃の方法もより複雑化しています。サイバー攻撃は、かつては愉快犯による派手な攻撃が主流でした。ところが、近年では、金銭や情報窃取などを目的とする巧妙かつ発覚しにくい攻撃に変化しているため、サイバー攻撃の発見が遅れて被害が拡大してしまうケースが頻発しています。具体的には、かつてはOSの脆弱性を悪用し、ワーム感染させる手口などが多かったものの、近年ではIoT機器を狙った攻撃や身代金を要求するランサムウェアなど、攻撃が複雑化しています。このため、ネットワークセキュリティを構築する際には、近年のサイバー攻撃に対応できる最新の技術を用いた仕組みを採用する必要があります。

そもそも、サイバー攻撃は無作為に行われているものもあり、企業ネットワークはいつどのような攻撃が仕掛けられるかわからない状態に置かれています。サイバー攻撃の脅威から会社の重要なデータを守るためには、ネットワークセキュリティに対する意識を持って常に適切な対策を行うことが大切です。

内部不正対策

インターネット上の脅威は、外部からの攻撃によるものだけではありません。
組織内部の者による不正、業務上のミスなどにより、企業が損害を受けている例が多発しています。実際、日本でも内部不正により機密情報が漏洩した事例や、送金ミス、書類の偽造などにより金銭が外部流出した事例など、さまざまな内部不正や事故が発生しています。
機密情報が保存されたUSBメモリーを社外に置き忘れてしまったために、情報漏洩事故に繋がった事例も確認されています。ネットワークを介した情報流出だけではなく、物理的なメディアを紛失してしまったことによる情報流出にも注意する必要があります。紛失したメディアが悪意ある第三者の手に渡った場合、さらに有益な情報を狙ったサイバー攻撃を仕掛けられてしまうことが考えられます。情報漏洩や機密情報への不正アクセスなどが行われていないかは、平常時であっても常に監視されるべきでです。たとえ企業内の人物による操作とみられる場合でも、操作に不審な点がないか見抜くことが求められます。内部不正への対策としては、ログ監視やファイルの暗号化などが有効です。これらの施策を取り入れることで、万が一、問題が発生したときでも迅速な対応が可能になります。

ネットワークセキュリティの種類

次に、ネットワークセキュリティをネットワークの形態別に、分類します。ネットワークの形態には、クローズドネットワークとオープンネットワークの2種類があります。ネットワークセキュリティを構築する際も、各ネットワーク形態に適した方法があります。

クローズドネットワーク

クローズドネットワークとは、企業内のサーバーや端末だけがつながっている、外部から完全に独立したネットワークのことです。インターネットにつながっていない社内イントラネットなどがクローズドネットワークの代表的なものであり、これらは企業の関係者しか利用ができません。そのため、インターネットを介したサイバー攻撃が少ないというメリットがあります。
このため、クローズドネットワークのセキュリティ対策は、主に外部ではなく内部の不正に向けた対策となります。インターネット経由のデータ流出はなくても、データの持ち出しやID・パスワード流出による不正ログイン、権限を越えたアクセスなど内部不正への対策が必要です。
出入り口への監視カメラ設置、操作ログ取得、アクセス制限の適切な付与と制限(多要素認証など)、USBメモリーなど外部接続機器の使用制限、システム運用ルールの厳格化、従業員のセキュリティ研修など、ネットワークリテラシー対策が内部不正の抑制に効果的です。

オープンネットワーク

オープンネットワークは、誰もが接続可能なインターネットと接続しているネットワーク環境のことです。働き方改革によりリモートワークに便利なクラウドプラットフォームを活用する企業が増加しているため、近年ではオープンネットワークのネットワークセキュリティが注目を集めています。
オープンネットワークの場合には、クローズドネットワークで行う内部不正に対するセキュリティ対策に加えて、外部からのサイバー攻撃に対するセキュリティ対策も必要です。まずはクローズドネットワークの場合と同様に、出入り口への監視カメラ設置、アクセス制限の適切な付与と制限、外部接続機器の使用制限など、内部不正向けのネットワークセキュリティ対策を設定します。
さらに、インターネットを通じた外部からのサイバー攻撃を防ぐため、外部からの不正アクセスを遮断するファイアウォール、アンチウイルスソフト、通信ログの取得と管理、IPS(不正侵入防止システム)/IDS(不正侵入検知システム)などによる対策が必要です。
クラウドプラットフォームを利用する場合には、アクセス制限、データの暗号化、厳重なユーザー認証など、より強固なセキュリティ対策を導入します。
近年、新しいセキュリティの考え方として注目を集めているのが、「ゼロトラストネットワーク」や「EDR(Endpoint Detection and Response)」という概念です。これらは新しく次々に出現するマルウェアや不正アクセスなど、全ての攻撃を完全に防ぐのは困難であるという前提でネットワークを守るという考え方です。ネットワーク上に安全な領域は存在しないと仮定し、社員が使用するパソコンなどの端末に集中してセキュリティを強化します。

実践すべきネットワークセキュリティ対策5選

インターネットを安全に活用するためには、確固たるネットワークセキュリティ対策が不可欠です。ここでは、重要な情報や個人データを守るために、効果的な5つの対策をご紹介します。

ファイアウォール

ネットワークセキュリティを強化するための重要な対策のひとつとして、「ファイアウォール」が挙げられます。ファイアウォールは、インターネット接続時に外部からの不正アクセスを防ぐ機能を果たします。
ファイアウォールには、物理ファイアウォールと仮想ファイアウォールとがあり、いずれもネットワークのセキュリティを強化する重要な防御手段です。外部の不正アクセスから内部ネットワークを守ることで、機密情報や個人データなどの重要な情報が漏洩するリスクを最小限に抑えられます。
ファイアウォールは、特定のポートやプロトコルを監視し、不正な通信を検知することでネットワークを守ります。外部から不正なアクセスが試みられた場合、ファイアウォールはそれを検知し、適切なアクションを取ることができます。たとえば、不正なアクセス元をブロックしたり、不正な通信を遮断したりすることが可能です。
ファイアウォールは単純なものから高度なものまで様々な種類があり、ネットワークの規模やセキュリティ要件に応じて適切なものを選択することが重要です。また、ファイアウォールの設定や管理も適切に行うことが大切であり、定期的なアップデートやセキュリティ設定の見直しを行うことで、常に最新の脅威に対抗できる状態を維持します。

アクセス制限

ネットワークセキュリティを確保する上で欠かせない対策のひとつが、「アクセス制限」です。アクセス制限は、アクセスの権限が付与されたユーザーしかネットワークやシステムにアクセスできないように制限を設けることです。
ネットワーク内部には、機密情報や重要なデータが含まれている場合が多く、これらの情報にアクセスできる人物は限定すべきです。アクセス制限を導入することで、ユーザーごとに適切なアクセス権限を割り当て、必要な情報にしか触れられないようにします。これにより、不正なアクセスや情報漏洩のリスクを軽減し、ネットワークのセキュリティを強化します。
アクセス制限は、さまざまな方法で実現できます。よく用いられるのが、ユーザーアカウントの作成時に役職や職務に応じてアクセス権限を設定する方法です。例えば、経理部門のスタッフには経理データへのアクセス権限を与えるが、他の部門のスタッフには制限を設けるなどです。
また、二要素認証(2FA)や多要素認証(MFA)の導入も効果的です。パスワード以外の要素で、二重三重に本人確認を行うことで、不正アクセスを防止できます。

IPS / IDS

ネットワークセキュリティを強化するための対策の中で、IPS(Intrusion Prevention System)とIDS(Intrusion Detection System)にも注目が集まっています。
IPSは、ネットワークのトラフィック解析を行い、ネットワーク上を流れるデータパケットを監視します。さらに、不正なパケットや攻撃を検知すると、不正な通信を遮断します。
IPSは、データパケットの振る舞いや内容までも精査し、不正な通信を検知するため、新規性の高いサイバー攻撃にも対処できます。
一方、IDSは不正アクセスを検知してユーザーや管理者に通知します。IPSと同様に、ネットワークのトラフィックを監視しますが、通信を遮断する機能は持ちません。不正な通信を検知すると、警告や通知をし、ユーザーや管理者に対応を促す役割を果たします。IDSのログを分析することで、セキュリティインシデントの原因やパターンを把握し、今後の対策に活かすことが可能です。

多要素認証

多要素認証は、アプリケーションやクラウドシステムのログイン時に、2つ以上の要素を組み合わせて認証を行う方法です。パスワード単独の認証では不十分な場合があるため、より高いセキュリティを実現する手段として広く採用されています。
多要素認証では、パスワードなどの知識情報、スマートフォンやハードウェアトークンなどの所有情報、指紋や声紋などの生体情報のうち、2つ以上を組み合わせて認証します。例えば、パスワード入力に加えて顔認証を行うなどです。
仮に、第三者がパスワードを盗み出したとしても、その人物の指紋や顔を偽造することは困難です。
複数の要素で認証することで、不正アクセスが困難になり、強固なセキュリティが担保されます。

多要素認証には、ユーザーのセキュリティ意識を高める効果もありますが、認証プロセスが複雑になりがちです。しかし近年では、最新のテクノロジーでユーザー体験を向上させることで、利便性を犠牲にすることなく多要素認証を導入できる仕組みも整いつつあります。

VPN

ネットワークセキュリティを強化する対策として、「VPN(仮想プライベートネットワーク)」の導入も有効な手段のひとつです。VPNは、インターネット上に特定のユーザーのみが利用できる通信回線を構築し、通信の安全性を高める仕組みです。
VPNの最も一般的な用途は、リモートワークです。近年、多くの企業でリモートワークが普及しており、社内のネットワークへセキュアにアクセスする必要性が高まりました。VPNを使用すれば、従業員が自宅や外出先から、インターネットを介して社内ネットワークに安全に接続することが可能です。
専用の通信回線を設けるだけでは不十分なため、VPNでは、同時に通信を暗号化することが一般的です。暗号化により、機密情報や重要なデータを安全にやり取りできます。
特に、公共のWi-Fiネットワークを利用する際には、VPNが重要な役割を果たします。公共のWi-Fiはセキュリティが非常に脆弱なため、ハッカーや盗聴者によるデータの盗み見が懸念されます。このような環境においては、安全なトンネルを用いてデータを送信できるVPNは、プライバシーとセキュリティの保護に大きく貢献します。

認証機能を搭載した「HENNGE One」でよりセキュアに

「HENNGE One」は、SaaS認証基盤を搭載しているセキュリティサービスです。認証基盤とは、それぞれ別のIDやパスワードを用いて認証を行わなければならない複数のWebサービスやアプリケーションなどにおいて、ログイン時に個別に認証する必要なく全ての認証を一箇所に集約する機能です。

仕事で利用するアプリケーションが多い場合、大量のIDやパスワードを自己管理しなければならないことがあります。覚えきれないほどIDやパスワードがある場合には、気軽にメモ書きをして放置してしまうなど、管理が甘くなりがちです。IDやパスワードを増やすほど、各認証要素の管理が煩雑になりますが、SaaS認証基盤を利用すれば、IDやパスワードを集約しつつ、安全に管理できます。

HENNGE One では、Microsoft 365やGoogle Workspace、Cybozu.comなど、クラウド上のアプリケーションへのセキュアなアクセスやシングルサインオンが可能です。安全性の高い多要素認証(MFA)やメール誤送信・情報漏洩対策などのセキュリティにも対応しながら、「脱パスワード」による簡単で強固な認証方法を実現しています。豊富な認証機能や情報漏洩対策機能が搭載されているので、ユーザーが使いやすい機能を自由に選択できます。

まとめ

現代において、ネットワークセキュリティは非常に重要な課題となっています。一方、アプリごとに異なるパスワードを管理する必要性に迫られ、利便性が失われるという別の問題も発生しています。大量のパスワードを管理することで業務効率が低下し、ずさんな管理によりセキュリティ上の別の問題が発生しかねません。
このため、SaaS認証基盤である「HENNGE One」に注目が集まっています。この認証基盤では、複数のID・パスワードを集約して管理できます。さらに、利便性が高いパスワードレス認証機能も搭載しているため、業務の効率化も実現します。HENNGE Oneの利用により、強固なネットワークセキュリティを確保しながら、より効率よく安全性を高めることができます。

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