メール誤送信を防止できるツールおすすめ5選!選び方も解説

 2024.06.07  クラウドセキュリティチャネル

メール誤送信によって、顧客情報や機密情報が漏えいしてしまうと、企業は大きなダメージを負ってしまいます。取引先や顧客の信頼を失い、事業の継続すら危ぶまれるかもしれません。本記事では、企業を窮地に立たせかねないメール誤送信を防止する対策や、有効なツールについて解説します。

よくあるメール誤送信の例と原因

メールの誤送信でよくあるのが、送信先のメールアドレスを間違えてしまうケースです。直接アドレスを入力していて間違える、似たアドレスを選択してしまい誤送信する、といったことが考えられます。 

また、送るべきデータと異なるファイルを添付して送信してしまう、記載すべき文面を間違えてしまう、といった事例も少なくありません。このような誤送信が発生すると、ときに組織へ甚大な被害を及ぼすおそれがあります。社外秘の情報を意図せずに送ってしまうことも起こり得ます。

基本的に、こういった誤送信は作業者の不注意で引き起こされるケースがほとんどです。仕事ができるまじめな従業員であっても、ケアレスミスで誤送信してしまうこともあるでしょう。厳格な運用ルールのもとメールを扱っていても、こうしたミスはゼロにはできないため厄介です。メールの誤送信を防ぐ具体的な方法については、以下の記事で詳しく解説しています。こちらも合わせて参考にしてみてください。

メール誤送信を防ぐ5つの対策

メール誤送信を防ぐ対策として、送信を一時保留する方法が考えられます。また、添付ファイルを暗号化しておけば、万が一誤送信しても情報漏えいを防げます。第三者によるチェックや誤送信を防止できるツールを利用するのも有効です。

送信を一時保留する

作成したメールをすぐに送信してしまうと、誤送信に気づいても後の祭りです。メール送信予約機能が実装されているメーラーであれば、少しあとの時間に予約しておくことでその間に送信先や添付ファイルなどに誤りがないかチェックできます。

予約した時間までにチェックし、誤りがあれば送信をキャンセルできるため安心です。なお、有名なメーラーの多くが送信予約機能を実装しているものの、設定方法は個々で異なります。

Outlookなら、手動による送信設定を行うと即座に送信されません。「詳細設定」→「送受信」と進み、「接続したら直ちに送信する」のチェックボックスを外せば設定できます。

Gmailには送信取り消し機能があり、送信したあとでも取り消しが可能です。「設定」→「すべての設定を表示」と進み、「送信取り消し」の時間を選択して完了です。

添付ファイルを暗号化する

添付ファイルを暗号化できるツールを利用すれば、万が一誤送信が発生しても情報漏えいを回避できます。メールで頻繁にファイルのやり取りをする企業であれば、このようなツールの導入を検討してみるとよいでしょう。

添付ファイルの暗号化と聞くと、PPAPを思い浮かべる方がいるかもしれません。詳しくは後述しますが、誤送信対策として広がったPPAPにはさまざまなリスクが潜んでいます。

第三者のチェックを挟む

作成したメールを即時送信するのではなく、第三者のチェックを挟んだうえで送信する手法です。メールの本文や添付しているファイルの中身、宛先などを社内の第三者がチェックし、問題ないことが確認できたら送信します。

ただ、ここまでやったとしても、誤送信を確実に回避できる保証はありません。第三者が誤りを見逃してしまうおそれがあるためです。そのため、万が一誤送信が起きた際に早期発見できるような工夫が求められます。

具体的な対策としては、CCやBCCを用いた情報の共有が挙げられます。CCやBCCに部署やチームメンバーのメールアドレスを入力すれば、誤送信が発生しても速やかに気づける可能性があります。

オートコンプリート機能を解除する

多くのメーラーに実装されているオートコンプリート機能は、入力した文字から予測して候補となるメールアドレスや名前を表示してくれるため便利です。ただ、この機能が原因でメールの誤送信が発生してしまうケースにも注意が必要です。

オートコンプリートが機能すると、本来入力したいアドレスとよく似たアドレスを入力してしまうおそれがあります。このようなミスを回避するため、オートコンプリート機能は解除して利用しましょう。

Outlookであれば、「オプション」→「メール」と進み「メッセージの送信」欄にある「宛先、CC、BCCに入力するときにオートコンプリートのリストを使用して名前の候補を表示する」のチェックを外します。

誤送信防止ツールを活用する

メール誤送信防止ツールを導入すれば、誤送信を未然に防ぐさまざまな機能を利用できます。ツールによって実装している機能は異なるものの、送信時の宛先確認や添付ファイルのダウンロード、一時保留といった機能を備えたツールが多くを占めています。

どれほど注意して作業したところで、人的なミスを完全になくすのは困難です。チェックするにもリソースを割く必要があり、本来の業務が疎かになってしまうかもしれません。一方、誤送信防止ツールを導入すれば、チェックにかける手間や時間を大幅に削減でき、誤送信の防止と業務効率化を同時に実現可能です。

ツール選定時には、上記のような必須機能が実装されているか、信頼性に問題がないかといった部分をチェックしましょう。

Microsoft 365だけでは不十分?メールセキュリティ対策3つの落とし穴
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メール誤送信対策として広まったPPAPの危険性

PPAPは、パスワードを設けたZipファイルを送信しファイルを共有する手法です。本文とパスワードを2回に分けて送信しますが、誤送信の際には、最初のアドレスに2回目のパスワードを含むメールも再度送信してしまうケースが多く、対策としては不十分です。

また、PPAPはマルウェアへの感染やネットワーク盗聴などのリスクもはらんでいます。メールを盗聴されていた場合、パスワードも知られてしまうため結局情報が漏れてしまいます。

すでにPPAPの脆弱性や危険性は知れわたっており、政府も中央省庁における使用の廃止を打ち出しています。こちらも合わせて参考にしてみてください。

メール誤送信対策と脱PPAPに有効なツール「HENNGE One」

メール誤送信対策と脱PPAPに有効なツールとしてHENNGE Oneが挙げられます。Microsoft 365やGoogle Workspace、Boxなどとの連携が可能なセキュリティツールであり、行政機関や金融機関での導入実績もあります。

HENNGE OneのDLP Editionを活用すればメールの誤送信対策が可能です。同ツールに実装されている機能の一部を以下に記載します。

第三者によるダウンロードを防止できる

添付ファイルは自動的にオンラインストレージにアップロードされ、メールを受信した側がメールアドレス認証ののちダウンロードする仕組みです。自動で発行されたダウンロード用URLが送られ、ダウンロード可能なユーザーも指定できるため安心です。

万が一、あとから誤送信に気づいても、URLを無効化すればファイルをダウンロードされる心配がありません。ただ、先にダウンロードされてしまうおそれがあることは覚えておきましょう。

誤送信につながる宛先アドレスを自動で削除できる

宛先から誤送信につながるアドレスの候補を自動で削除できます。事前の設定が必要ですが、対象外のアドレスを削除することで、誤ったアドレスに送信するリスクを回避できます。

ほかにも、メールを一時保留できる機能をはじめ、上長承認機能なども備えています。最大2GB、5ファイルまでをセキュアな環境のもと送受信可能な点も魅力です。

メールの誤送信を防止できるその他のツール4選

メールの誤送信防止対策には、ほかにも以下のようなツールが有効です。

  • CipherCraft/Mail
  • Active! gate
  • safeAttachクラウドサービス
  • SPC Mailエスティー

それぞれのツールのメリットをまとめます。

CipherCraft/Mail

CipherCraft/Mailは、わかりやすいマークでポップアップ表示してくれるメールの誤送信防止ツールです。クリックで確認が必要な情報は黄色の警告マーク、初めてメールを送信する相手には赤色の警告マークで表示してもらえます。

また添付ファイルを送信する際にも、さまざまなチェック項目を表示してくれます。「個人情報が入っている」「見積資料が添付されている」など、あらかじめ設定されたキーワードが含まれていると注意を促す機能も搭載。自動的に添付ファイルをzip形式(パスワード付)にできるため、利用者側で複雑な設定をする必要もありません。

オプションで追加すれば、メール本文と添付ファイルを分離して送信することも可能です。添付ファイルは自動的に同社サーバーで保管され、メールの送信先にはダウンロードURLが通知されます。汎用クラウドサービスによる保管よりもセキュリティを高められるといったメリットがあります。

Active! Gate SS

Active! Gate SSは、Microsoft 365・Google Workspace・LINE WORKSにも対応しています。メール誤送信防止として一時保留機能や上司承認機能、Bccに自動変換できる機能があります。上司承認機能には「代理者」が承認作業を行う設定が可能で、業務の停滞を避けるように工夫されている点も特徴です。

加えて添付ファイルのzip暗号化送信を極力減らす、いわゆる脱PPAPに取り組んでいます。特に強みとしているのがTLS確認機能であり、添付ファイル等のデータを自動暗号化して情報漏洩を防ぎます。仮に配信先のメールサーバーがTLSに非対応でも、Webダウンロードに切り替えられるのもメリットのひとつです。

初めて利用する際には、60日間の無料トライアルが可能です。他にも便利な機能が多数搭載されているので、まずはお試しに利用してみるのもよいでしょう。 

safeAttachクラウドサービス

safeAttachクラウドサービスは、メールの誤送信対策と脱PPAPの双方を実現できるツールです。こちらの製品では、ゲートウェイ方式を採用しています。そのため利用者側がインストールする必要がなく、気軽に導入できる点が強みです。

メール誤送信対策機能としては、一時保留機能や第三者承認機能、宛先確認機能が搭載されています。脱PPAPの面では、クラウドストレージを活用したダウンロードURL化機能があります。クラウドに添付ファイルを保管し、送信先にはそのファイルをダウンロードするためのURLを送付します。仮に添付ファイルを送り間違えたとしても、設定から簡単に削除できます。

こちらの商品では、運用に至るまでいくつかのステップを踏むのがポイントです。まずはUIや使い勝手を確認するための疑似トライアルを行い、次に利用者の環境に合わせた本番環境トライアルに移ります。

SPC Mailエスティー

SPC Mailエスティーは、中央省庁や地方自治体にも導入実績のあるメール誤送信防止ツールです。セキュリティ対策を強みとしており、SLA(サービスの品質保証レベル)も99.9%を誇っています。

一般的なメール誤送信防止機能を備えているほか、「添付ファイルWebダウンロードオプション」を使った脱PPAPも取り入れています。添付ファイルはサーバーに送られ、メールに記載されたパスワードを受信者が入力することで取得できます。なお機能は、必要なものを自由に搭載できる仕様となっています。

さらにSPC Mailエスティーは、コンサルタントによって導入をサポートしてもらえるのが強みです。導入するにあたり、さまざまなアドバイスをもらうとよいでしょう。

メールの誤送信防止ツールの選び方

メールの誤送信防止ツールにも多くの種類があり、何を基準に選べばいいかわからないと感じる人もいるでしょう。ここでは特に意識したいポイントを解説するので、ツール選びの参考にしてみてください。

必要な機能が揃っているか

メール誤送信防止ツールを選ぶ上では、必要な機能が揃っているかをチェックしましょう。メール誤送信の発生には、さまざまな原因が考えられます。これら全てに対応していないツールは、実際の現場で使っても効果を期待できません。

まず誤送信していないかを知らせる機能として、アラート機能がおすすめです。宛先は誤っていないか、添付ファイルは正しいかを簡単にチェックできるアラートを出せるようにしましょう。

また自動でBCCに切り替える機能や送信トレイに一時保留する機能も、誤送信を防ぐ点で有効です。複数のツールを比較検討すれば、必要な機能をある程度把握できます。その中で、特に機能が揃っているものを優先して選びましょう。

カスタマイズ性が高いか

メールの誤送信防止ツールにおいては、カスタマイズ性の高さも重視したほうが賢明です。メールのやり取りをする企業の中には、ツールの取り扱いに慣れていない従業員も少なからずいるでしょう。設定や操作が難しい種類を選ぶと、上手く扱えなくなる恐れがあります。

特におすすめしたいのが、専門的な知識やスキルを必要としないツールです。直感的な操作ができ、素人でも比較的簡単にセットアップできそうな製品を選びましょう。
また、幅広い端末で利用できるかもポイントとなります。アドオン型のツールはスマートデバイスでは利用できないといった制限も存在するため、メールをリレーする形式のツールをお勧めします。

操作感は、実際に自社で使ってみないと分からない部分もあります。そのためツールを選ぶ際には、1カ月程度のお試し期間がないかも確認してみるのをおすすめします。使いやすさも人によって異なりますが、さまざまなツールを試しながら探してみましょう。

既存システムと連携できるか

メールの誤送信防止ツールは、既存システムと連携できるかも重要です。社内で使っているメールサービスに対応していなければ、ツールを導入した意味がなくなります。アドオンが容易であり、既存システムをしっかりと補強してくれそうなものを選びましょう。

例えばOutlookを使用している企業の場合、Microsoft365と連携できるかを確認します。一方でGmailを使用している企業であれば、Google Workspaceと連携できるかが重要です。特に重要な観点として、ユーザー管理を個別に行う必要がないといった点は運用上重要視すべきポイントです。

費用感が見合っているか

コストパフォーマンスも、メールの誤送信防止ツールを選ぶ上で重要です。Outlookであれば、メール誤送信を防ぐための機能があらかじめ搭載されています。無論これらの機能を利用する際には、基本的に追加で費用は発生しません。

リリースされているメールの誤送信防止ツールの中には、Outlookの機能と大差ないものもあるでしょう。結局はOutlookのみで代用できることを考えると、このようなツールを導入しても無駄な出費をしているにすぎません。

メールの誤送信防止ツールを選ぶ際には、必ず機能と費用のバランスを見比べるようにしましょう。複数の企業から相見積もりを取っておくと、コストパフォーマンスの良し悪しがより明確にわかります。

なお、Outlookの誤送信対策については以下の記事で詳しく解説しています。合わせてご確認ください。

サポート体制が整っているか

優れたツールをリリースしている企業は、サポート体制も充実しているものです。操作感の良いツールを選んだとしても、慣れていなければスムーズに使用するのは難しいでしょう。使用する中で、新たな疑問点や問題点が出てくる可能性もあります。迅速に対応してもらえれば、時間をかけずに問題解決ができます。

特に便利なのが、メールやチャットで解決法を教えてくれるサービスです。チャットサービスを使えば、疑問に感じたことを入力すればすぐに解決法を導いてくれます。

電話連絡の場合、具体的な不具合を説明するのが難しいほか、時間がかかってしまう場合もあります。サポート体制を確認する際には、使いやすいサポートを取り入れているかも重視したほうが賢明です。

セキュリティは十分か

メールの誤送信ツールを選ぶときは、セキュリティの高さもチェックしなければなりません。メールのやり取りは、個人情報や機密情報を扱う業務です。重要な情報を守るためにも、ツールそのもののセキュリティ面はしっかりとチェックしなければなりません。

また社内のセキュリティポリシーに沿った機能を備えているかも確認が必要です。例えばメール送信に上長からの承認が必要と社内で定めているのであれば、上長承認機能のあるツールが望ましいでしょう。

セキュリティ面を重視する際にポイントとなるのが、信頼性の高いツールを選ぶことです。実績があり、実際に利用したクライアントからの評価が高い企業を優先して選びましょう。実績のある企業はホームページでも積極的に取り上げているため、調査する際の参考にしてください。

まとめ

メールの誤送信が企業にもたらすデメリットは決して小さくありません。人的なミスを完全になくすことは不可能に近いため、誤送信を防止できる機能やツールの導入によって解決を図るのがベストです。第三者を挟んで厳しくチェックするのもひとつの手ですが、どうしても手間と時間がかかり、担当者への負担も増加します。
またこうした社内のセキュリティ運用が形骸化しないためにも、誤送信防止ツールの導入を検討したほうがよいでしょう。

データの紛失や漏洩を防ぐためのツールを導入したい場合は、HENNGE OneのDLP Editionがおすすめです。メール誤送信対策はもちろん、PPAP対策やメール監査機能などと幅広いメールセキュリティ機能を有しています。ぜひ利用してみてください。

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