ファイル共有にはどのような方法がある? セキュリティリスクも解説

 2023.05.19  クラウドセキュリティチャネル

オフィスでの日常業務やビジネスシーンにおいて、ファイル共有は頻繁に行われています。さまざまな共有方法が存在するものの、ファイル共有にはセキュリティリスクも介在するため注意が必要です。本記事では、ファイル共有の主な方法やそれぞれのメリット・デメリット、セキュリティリスクなどについて解説します。

ファイル共有にはどのような方法がある? セキュリティリスクも解説

ファイル共有の方法

ファイル共有の方法は多々あるものの、それぞれメリットとデメリットがあります。また、シーンによっては適さない方法もあるため、個々の特徴をしっかりと押さえたうえで導入を検討することが大切です。

USBメモリ

ファイルを保存したUSBメモリでやり取りする方法です。USBメモリさえあれば実践できる手軽な方法であり、オフィス内などにおけるファイルのやり取りに適しています。オフライン環境下でファイルを共有できるのもメリットです。

一方、USBメモリを用いたファイル共有は、セキュリティリスクを高める懸念があります。持ち運びが容易な軽量かつコンパクトサイズなリムーバルメディアであるため、紛失や盗難などのリスクが考えられます。情報漏えいにもつながるため、扱いには十分注意しなくてはなりません。

また、マルウェアへの感染リスクもあります。マルウェアに感染したUSBメモリでデータのやり取りをすると、いくつものデバイスに感染を広げてしまうおそれがあります。近年では、USBメモリを用いたファイル共有を禁止する企業も見られるため、使用には慎重にならなくてはなりません。

ファイルサーバー

社内に構築したファイルサーバーを用いて、ファイルをやり取りする方法です。ファイルサーバーを社内に構築すれば、全従業員がオンラインを介してファイルのやり取りを行えます。

自社のセキュリティポリシーにあわせたファイルサーバーを構築でき、安全な環境下でデータのやり取りを行える点がメリットです。また、サーバーの容量によっては、膨大な量のデータを保存できます。

一方、ハードウェアの購入やセットアップなど、多大な初期費用が発生する点がデメリットです。設計から構築まで自社で行うとなれば専門人材も必要です。さらに、サーバーの設計から構築までには期間もかかるため、すぐに運用したいといったケースには適しません。

NAS

NASとは「Network Attached Storage」の略で、日本語では「ネットワーク型接続ストレージ」と訳されます。ネットワーク上でファイル共有を行える点はファイルサーバーと共通しますが、設計や構築が比較的容易で、なおかつカスタマイズの自由度が高いメリットがあります。

大掛かりな機器の導入やセットアップ、ソフトウェアのインストールなどが不要であり、低コストかつ手軽に導入できるのは大きなメリットです。社内にファイルサーバーを設置したいものの、コストが不安といった企業に適しています。

ただし、大容量に対応可能なNASは価格が高くなりがちであるため、注意が必要です。導入する際は、扱うデータ量や利用人数などに応じたスペックの製品を購入しましょう。

メール

古くから行われてきたファイル共有の方法です。メールにファイルを添付し、共有したい相手に送信するだけなので、導入しやすい点がメリットです。

ビジネスシーンでは、いまだにメールがコミュニケーションツールとして重宝されています。日ごろから業務で使用しているため、誰でも手軽に迷うことなくファイル共有を行えるのは魅力です。

一方、メールに添付できるファイルの容量には限りがあります。容量が大きすぎるファイルは送るのに時間がかかる、もしくは送信できないなどの懸念があるため注意しましょう。また、間違えて別の相手にファイルを送るといったミスによって情報漏えいにつながるリスクもあります。

ファイル転送サービス

ファイル転送サービスは、インターネット上で利用できるサービスです。サービスを介してファイルをアップロードするとURLが提供されるので、それを共有したい相手に知らせてダウンロードしてもらう方法です。

大容量のファイル転送に対応しているサービスも多いため、容量の都合によりメールでは送信できない場合に適しています。また、社外の方と共有したいときも、URLを知らせるだけでよいため手軽です。

なお、無料で利用できるファイル転送サービスは多いものの、共有したいデータの容量が大きい場合には、料金が発生するケースがほとんどです。また、URLをメールで誤送信してしまい、情報が外部に流出するといったリスクも考えられます。

クラウドストレージ

クラウド上に構築されているストレージへファイルを保管し、ユーザーがアクセスすることで共有できます。大容量のファイルを保管できるうえに、さまざまな端末から容易にアクセス可能なので業務効率化にも役立ちます。

アクセス権限があれば、ダイレクトにストレージへアクセスして共有が可能です。また、アクセス権限がない社外のユーザーとファイルを共有したい場合には、URLの提供や招待などで一時的にアクセスを許可できます。

導入から運用までスピーディーな点が大きなメリットです。基本的には、オンラインからサービスへ申し込めばすぐ利用できます。一方、月額料金制のクラウドサービスであるため毎月利用料が発生し、ランニングコストがかかります。

コミュニケーションツール

チャットツールやWeb会議システムなどには、ファイル共有が可能な機能を実装した製品もあります。ファイルを共有できるだけでなく、テキストや音声でコミュニケーションを取りながらデータのやり取りを行える点がメリットです。

たとえば、Web会議システムを用いれば、資料のデータなどを画面に映して参加者全員で共有できます。その場で内容の確認や意見交換などができるため効率的です。

現在、コミュニケーションツールはさまざまな製品やサービスがリリースされており、機能やセキュリティレベルなどがそれぞれ異なります。導入の際は、自社の業務にマッチした機能が実装されているか、費用対効果はどうかなど、さまざまな部分を比較しつつ検討しましょう。

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ファイル共有のセキュリティリスク

ファイル共有で懸念されるのが、セキュリティリスクの発生です。具体的にどのようなセキュリティリスクの発生が考えられるのか、きちんと把握しておく必要があります。

共有手段そのものに伴うリスク

先述したように、USBメモリを用いたファイル共有には、紛失や盗難による情報漏えいのリスクが考えられます。また、メールでは誤送信やサイバー攻撃による盗聴、ファイルサーバーやNASではマルウェア感染やデータの消失といったリスクがあります。

メールを用いたファイル共有方式の一種、PPAPにも注意が必要です。添付ファイルを保護できる共有方式として注目を集めましたが、誤送信による情報漏えいや、セキュリティソフトによる脅威検知ができないなど、さまざまなリスクが指摘され、現在では推奨されていません。政府もPPAPの危険性を認識し、利用を禁止しました。

サービスのセキュリティレベルに伴うリスク

ファイル転送サービスやクラウドストレージ、コミュニケーションツールなどは、事業者やサービスによってセキュリティレベルが大きく異なります。提供されたサービスをそのまま使用するため、自社でセキュリティの強化もできません。

そのため、セキュリティレベルが低いサービスを導入してしまうと、そのまま自社の脅威につながりかねません。サービスやツールの選定時には、どのようなセキュリティ対策が施されているのか、安全にデータのやり取りを行える環境が整備されているのかをチェックしなくてはなりません。

まとめ

USBメモリやファイルサーバー、NAS、メール、クラウドストレージなど、ファイル共有の方法はさまざまです。それぞれにメリットとデメリットがあり、セキュリティリスクの懸念もあるため、選定時には慎重に検討を進めましょう。

安全なメールの運用とファイル共有を実現できるサービスとして、「HENNGE E-Mail Security Edition」が挙げられます。大容量のデータ転送が可能なうえ、メール監査や標的型攻撃対策など、安全に利用できる環境が整っています。この機会に導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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