ファイル共有にはどんな方法がある?
メールのセキュリティが気になるとき

 2024.04.11  クラウドセキュリティチャネル

業務の生産性を高めるためには、適切なファイル共有方法を選ぶことが必要です。本記事では、ファイル共有方法の種類やセキュリティ面について解説します。自社に適したファイル共有方法について詳しく知りたい人は、ぜひチェックしてください。

ファイル共有にはどんな方法がある? メールのセキュリティが気になるとき

多くの企業がメールでファイル共有

現在、クラウドストレージの導入が広く進んでいます。しかし、いまだに多くの企業がメールを使ってファイル共有を行っていることも事実です。Dropbox Japan株式会社が2022年に公開したデータによると、社外の情報共有にメールを使う企業は全体の約7割に上るとのことです。
(参照元:https://navi.dropbox.jp/survey-results-sharing-and-transferring-files

しかし、メールを使ったファイル共有には、誤送信や情報漏洩といったリスクがあります。人的ミスのほか、サイバー攻撃やマルウェア感染によって脅威にさらされることも少なくありません。安全に情報共有するためには、適切なセキュリティ対策が不可欠です。

ファイル共有の方法

ファイル共有には、メールのほかにもさまざまな方法が存在します。使用シーンによって適する方法は異なるため、各方法の特徴を知ることが大切です。以下では、ファイル共有の主な方法と、それぞれのメリット・デメリットについて解説します。

USBメモリ

USBメモリは、コンピュータのUSBポートに接続してデータを保存・転送する外付け記録媒体です。近年では大容量かつ低価格化が進んでおり、なおかつコンパクトで携帯性に優れる点が、USBメモリの大きな特徴です。2GBや4GBなどの小容量タイプから、256GBや512GBといった大容量タイプまであり、ビジネスシーンから一般消費者まで幅広い層に利用されています。大量のファイルをコンパクトに持ち運べるツールとして重宝されており、オフィス内におけるファイル共有に適した方法です。

ただし、コンパクトで携帯性に優れるがゆえに紛失しやすく、USBメモリの置き忘れや盗難によって情報漏洩インシデントを招いてしまった事例もあります。

ファイルサーバー

コンピュータのOSに搭載されている共有フォルダ機能を用いてデータを共有する方法です。たとえば、Windowsの共有フォルダ機能を使えば、社内ネットワークに接続されているコンピュータ同士で簡単にデータを共有できます。USBメモリやHDDのような外部機器を用意する必要がなく、一般的なコンピュータのみで利用可能という点が、ファイル共有フォルダの大きなメリットです。

ただし、ローカル環境のみにファイルを保管している場合、コンピュータの故障によってデータが消失する可能性がある点に注意しなくてはなりません。そのため、ファイル共有フォルダで重要度の高いデータを取り扱う際は、万が一の事態に備えてバックアップ環境を構築する必要があります。

NAS

NASは、LAN接続型HDと呼ばれるネットワーク対応型のストレージ機器です。USBメモリや外付けHDDは一対一の関係性でファイルを共有しますが、NASはネットワーク上で複数台のコンピュータとファイルを同期できます。NASにはファイルの保管・共有に特化した機能が搭載されており、ファイルサーバーのようにITインフラを構築する必要がありません。導入時のイニシャルコストとランニングコストを抑えられるため、ファイルサーバーの代わりとして利用する企業もあります。

しかし、基本的に搭載された機能の範囲でしか自由が効かず、ファイルサーバーのように独自のセキュリティ要件を定義することはできません。

メール

顧客企業や取引先などとファイルを共有する際に用いられる方法のひとつが、メールへのファイル添付です。メールを用いたファイル共有は、専門的な知識をもたなくても比較的簡単に使用できるため、多くの企業で利用されてきました。しかし、有識者の間ではセキュリティリスクを懸念する声も上がっています。

メール利用時のセキュリティ対策として主に用いられている、パスワード付きZIPファイルとパスワードを別送するPPAP方式は、ハッキングや誤送信による情報漏洩のリスクを否定できません。この点を鑑み、2020年11月にデジタル改革担当相が定例会見にてPPAP廃止を発表し、それに追随して多くの企業で脱PPAPの動きが広がっています。

また、添付できるファイルの容量に制限があるため、ビジネス上のマナーとしては2MBほどに抑えることが必要です。

コミュニケーションツール

コミュニケーションツールとは、一般的な電話やメールに加えて、ビジネスチャットやWeb会議システム、タスク管理システム、社内SNSなどを含む、情報共有の円滑化を推進するソリューションの総称です。

ビジネスチャットやWeb会議システムなどの多くに搭載されているファイル共有機能を活用して、情報共有や業務連携を推進する企業も目立ちます。共有するファイルにメッセージを添えたり、ミーティングをしながら関連するファイルを共有できたりと、コミュニケーションの総合的な強化に寄与する点が大きなメリットです。SaaS型のソリューションも数多くリリースされており、近年では社内コミュニケーションの主流となりつつあります。

オンラインストレージ

オンラインストレージとは、クラウドコンピューティングをベースとするストレージサービスのことです。代表的なサービスとしてはGoogle DriveやOneDrive、Dropbox、Boxなどが挙げられます。

オンラインストレージがもつメリットのひとつは、拡張性の柔軟さです。オンプレミス環境で運用するストレージの場合、容量を増加するためにはハードウェアを増設しなくてはなりません。オンラインストレージは物理的なサーバーの導入・管理が不要であり、オプションの申し込みで簡単に容量を増設できます。カスタマイズ性やセキュリティ性の観点ではオンプレミス型に劣るものの、サービスのプランによっては容量無制限での利用が可能です。

ファイル転送サービス

ファイル転送サービスは、大容量のファイルをオンライン上で簡単に送受信できるWebサービスです。送信者がファイル転送サービスのWebサイトにアクセスし、送信したいファイルをアップロードすると、ダウンロード用のURLが発行されます。発行されたURLをメールやチャットなどで相手に送信し、ファイルをダウンロードしてもらう、というのが基本的なプロセスです。無料で提供されているサービスが多く、大容量のファイルを共有する際に重宝している企業も少なくありません。

しかし、ファイルをインターネット上にアップロードするという性質上、第三者に情報を窃取されたり、人為的ミスによってデータが流出したりといったリスクが懸念されます。

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注目される、クラウドによるファイル共有

多種多様なファイル共有方法の中でも、特に注目されている方法がクラウドストレージです。社内外ともに利用しやすく、多くのメリットを感じられます。以下では、クラウドストレージを使用したファイル共有の特徴について解説します。

いつでもどこからでも利用できる

クラウドストレージは、場所や時間を問わずにデータを使用できます。インターネット環境があればいつでもどこでもアクセスできるため、外出先からスマートフォンやタブレット端末を使ってデータを確認することも可能です。移動中にも業務を進行できるので、作業効率を大幅に向上できます。

加えて、テレワークの導入を推進できる点もメリットです。自宅やコワーキングスペースからオンライン上のデータを閲覧できるため、仕事場所を制限しない自由な働き方を取り入れることが可能です。

効率よく情報を集約できる

社内の情報を一元管理できる点も、クラウドストレージの特徴です。これまで社内のさまざまな場所に点在していた情報を、一か所に集約できます。必要な情報をすぐに検索できるため、情報共有の時間を削減可能です。閲覧制限を活用することで、重要データの取り扱いにも配慮できます。

紙媒体でデータを管理する場合は保管場所を確保しなければなりませんが、クラウドストレージならその心配も不要で、管理者の負担を大きく減らせます。

複数人での共同編集に適している

クラウドストレージには、複数人で共同編集ができるメリットもあります。共有フォルダを作成し、場合によってはアクセス権限を細かく設定することで、関係者複数人で共同編集ができるようになります。

編集を行ったログも残しておけるので、「いつ・誰が・何を編集したのか」というデータも確認可能です。遠方で仕事をしているメンバーも含めて、効率的に業務を進められます。

情報の漏洩リスクが減らせる

クラウドストレージではクラウド上にてファイルを管理するため、USBメモリのように紛失したり盗難被害に遭ったりする心配がありません。また、メールと違い共有リンクを発行する都合、万一アップロードするファイルや宛先を間違えた際にも、速やかにファイルを削除するなどの対応が可能です。そのため、USBやメールを使ったファイル共有方法と比べて、情報漏洩リスクをある程度抑えられるメリットがあります。

一方で、不正アクセスや内部不正、誤操作などによるリスクが懸念されますが、セキュリティレベルの高いサービスを選び、さらに社内で運用ルールをしっかりと定めることで、これらのリスクは回避・抑制が可能です。クラウドストレージのセキュリティレベルはベンダーによるものの、近年ではPPAPの代替案として注目されていることもあり、強固なセキュリティ対策が敷かれたサービスが多数提供されています。そうしたサービスを選択すれば、より安全に利用できます。

コストを低減できる

クラウドストレージには、コストを低減できるというメリットもあります。従来のオンプレミス型と比べると、サーバーの構築などにかかる初期費用を抑えられるからです。月額制で利用すれば、ランニングコストも低価格で済みます。

もしデータ容量の増設が必要になった場合も、契約プランをグレードアップすれば問題ありません。ファイルサーバーを増設する場合と比較すると、大幅にコストを削減できます。

クラウドを選ぶ際の注意点

クラウドストレージを導入する際は、いくつか注意すべきポイントもあります。以下の点に留意し、自社に最適なサービスを選定しましょう。

データの容量

1つ目の注意点は、データの容量です。コスト削減のために契約プランをグレードダウンさせると、導入後に容量が足りなくなる恐れがあります。サービスを契約する前に、自社に必要なデータの総量を調査しなければなりません。

加えて、使用するデータの種類(写真・動画など)や、データの保管先などについても調べておきましょう。種類によっては、アップロード・ダウンロードの回数に制限があるサービスもあります。実際に運用した様子をシミュレーションして、自社に適したサービスを厳選してください。

セキュリティの高さ

2つ目の注意点は、セキュリティレベルの高さです。従業員の個人情報や顧客情報などを守るためには、強固なセキュリティ対策が求められます。下記のポイントを確認し、自社に適したサービスを選択してください。

  • アクセス権限の設定:ユーザーによってアクセスできるファイルを制限します。IPアドレス制限・デバイス認証・アクセスコントロールなどが挙げられます。
  • 暗号化機能の有無:第三者からのデータ閲覧を防ぐために、データに加工を加えます。
  • 二要素認証設定の有無:異なる認証方法を2つ組み合わせます。IDパスワード・ワンタイムパスワード・暗証番号・カードなどの提示などが主な例です。

上記のような機能が搭載されているサービスは、セキュリティレベルが高いと判断できます。そのうえで、自社のセキュリティポリシーに合った設定が自由に行えるかどうかも確認しましょう。

もしサービス選びで迷ったら、国際規格「ISO27001(ISMS)」を認証取得したサービスをおすすめします。

使いやすさ

3つ目の注意点は、サービスそのものの使いやすさです。もし使い勝手が悪いサービスを導入してしまうと、会社に申告せず別サービスを使用する、いわゆる「シャドーIT」の原因にもなりかねません。業務を非効率化してしまう恐れもあるため、使いやすいサービスを選ぶことは非常に重要です。

たとえば、認証方法が難しすぎるものや、アクセス権限の種類が多すぎるものは、従業員が使いこなせない可能性があります。ITスキルが足りない従業員でもストレスなく使用できるような、操作が簡単なサービスを選びましょう。

ただセキュリティレベルが高いものを選ぶのではなく、操作性も加味して考えることが大切です。

ファイル共有の安全性をHENNGE Oneで強化

自社のセキュリティ要件を満たしつつ、拡張性と柔軟性に優れるファイル共有基盤の構築を推進するのであれば、「HENNGE One」がおすすめです。HENNGE Oneはシングルサインオンやアクセス権限設定、パスワードポリシーの設定、アクセスログの監視など、さまざまなセキュリティ機能を統合的に管理できるSaaS認証基盤です。また、ファイル転送サービスや脱PPAPに対応したメール誤送信対策ツールも備えており、セキュアなファイル共有を実現します。

まとめ

業務を円滑化させる情報共有は、今後の企業運営にとって非常に重要です。ファイル共有方法にはさまざまな種類があり、それぞれ特徴が異なります。特におすすめなのが「クラウドストレージ」の活用で、情報の一元化やコスト削減など、さまざまなメリットが期待できます。サービスを選定する際は、データ容量やセキュリティの高さなどについて、よく確認しましょう。

HENNGE One」は、高い安全性と利便性を誇るクラウドセキュリティサービスです。セキュリティレベルが高く、サービス導入後のサポートも充実しています。セキュアなファイル共有を実現したい方は、ぜひ導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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