企業で電子メールを利用する際には、適切なセキュリティ対策が必須です。メールセキュリティソフトを導入することで、さまざまなセキュリティリスクに対応することが可能です。この記事では、メールセキュリティソフトの概要や、機能・導入メリットについて紹介します。
メールセキュリティソフトとは
メールセキュリティソフトとは、電子メールを安全に利用するためのセキュリティソフトウェアです。サイバー攻撃対策をはじめとした、さまざまなセキュリティ機能が備わっています。
プライベートでの利用はもちろん、業務上においても電子メールは連絡手段の1つとして欠かせません。しかし、インターネット通信を介する以上、ウィルス感染やアカウントへの不正アクセスなどさまざまなセキュリティリスクにさらされています。
メールセキュリティソフトを導入すれば、上記のようなリスクを減らし、安全に電子メールを利用できます。最近では、「Windows Defender」などOSにプリインストールされたセキュリティソフトもありますが、より安全に電子メールを使用するためにも、メールセキュリティソフトの導入を検討してみましょう。
メールセキュリティソフトの機能
メールセキュリティソフトを導入すると、具体的にはどんな効果が得られるのでしょうか。ここでは、メールセキュリティソフトに搭載されている基本的な機能を紹介します。
アンチウィルス機能
電子メールは会社内部のみならず社外とのやり取りにも使われるため、ウィルスの感染口となる可能性があります。パソコンがウィルスに感染すると、動作が遅くなったり、情報を抜き取られたり、さらにはウィルスが社内で広まったりと、企業に甚大に被害を与える可能性があります。こうしたウィルスからの感染を防ぐために、アンチウィルス機能が搭載されています。
アンチウィルス機能は、ウィルスを拡散するために作られた「マルウェア」の感染を防ぎます。しかし、旧型のマルウェア対策では対応できない新型のマルウェアも登場しています。
旧型のマルウェア対策では、あらかじめこれまでに発見されたマルウェア情報をファイルに登録、参照することで、それと同じマルウェアの侵入を防ぎます。しかし、新しいマルウェアの増加スピードは凄まじく、次々と登場する新しい種類のマルウェアには対応しづらいという欠点があります。
そこで、登録されていないマルウェアの侵入まで防げる、新しい対策が開発されました。その対策に使用されている検知方法を「ヒューリスティック検知」といいます。
ヒューリスティック検知とは、アルゴリズムに基づいた推定によって、悪意があるかどうかをその都度判断する検知方法です。まだ発見されていないマルウェアであっても、悪意があると判定すれば、自動で排除します。
ただし、あくまでも推定によって検知するため、誤検知が起こる可能性もあります。そこで、より高度な「ジェネリック検出」と呼ばれる方法では、誤検知を減少させるなど改良されています。このように、セキュリティ技術は常に向上しているのです。
スパム対策機能
スパムメールとは、大量にさまざまなところへ送信される迷惑メールのことです。添付されているファイルの実行、URLへのアクセスなどで、マルウェアに感染するリスクがあります。このスパムメールへの対策として、スパム対策機能が搭載されています。
このようなスパムメールや、なりすましメールを防ぐための機能の一つに、フィルタリング機能があります。あらかじめ、差出人や文字列を指定しておくことで、該当するメールを受信しないように設定できます。
もしくは、特定の差出人以外からの受信を拒否することも可能です。また、100%正確とは言えませんが、高精度で悪意のあるメールを自動的に迷惑メールフォルダへ振り分ける自動フィルタリング機能も存在します。
また、なりすましメールにも注意が必要です。この「なりすまし」とは、悪意のある第三者が企業を装ってメールを送り、個人情報を盗む、金銭を騙し取る、ということです。一般的には、個人消費者向けに送られることが多いですが、企業に送られることもあります。過去、日本航空(JAL)が詐欺に遭い、3億円以上もの大金を支払ってしまったという事例もあります。
・参照:https://www.yomiuri.co.jp/science/goshinjyutsu/20180109-OYT8T50178/
なりすましメールへの対策としては、メールの暗号化が有効です。メールを暗号化すれば、内容をうかがい知ることは不可能になるので、ほかのさまざまなリスク低減へもつながります。
また、ドメインやメールサーバー、プロトコルの認証も効果的です。「送信者のドメインが偽装されたものでないかどうか」を検証し、サーバーにメールの記録が残らない形で送受信を行うことで、悪用を予防することも可能です。
情報漏えい対策機能
送信先や添付ファイルのミス、内部不正などにより、情報漏えいが起こる恐れもあります。そこで、メールセキュリティソフトには、情報漏えいの防止に役立つシステムが備わっています。
例えば、メールの送信前に宛先やCc、Bccの再確認を促すようなポップが開くように設定すれば、誤送信の防止効果を期待できます。
また、メール送受信のログを記録することで「どのような状況、組織で誤送信が多いのか」などを検証し、原因を特定することで今後の再発防止につながります。
メール送信の承認権を上司などに設定することで、二重チェックを課すことも可能です。
多くの企業では添付ファイルの暗号化も利用されています。添付ファイルにパスワードを設定し送信することで、万が一本来送るべきではない相手にメールを送信してしまったとしても、第三者にファイルの中身を知られるリスクを減らすことができます。パスワードは別送することで、パスワードを知っている人しか添付ファイルを開けないようにできます。
また、最近ではファイルをメールに添付せずにWeb転送ツールなどを利用してよりセキュアにファイル送信を行う例も増えています。
もっと読む:メールセキュリティソフトとは? その基本的な機能や導入メリット
メールセキュリティソフトの導入メリット
電子メールに関する、さまざまなセキュリティ対策が搭載されたメールセキュリティソフトの導入によって、さまざまメリットがあります。
個人情報・機密情報漏えいのリスクの低減
近年、メディアで頻繁に、企業からの個人情報流出が大きく取り上げられています。企業の信用を落とさないためにも、情報漏えいに対するセキュリティ対策はとても重要です。メールセキュリティソフトの誤送信防止機能や、暗号化機能を使うことで、個人情報・機密情報の漏えいリスクを削減できます。
マルウェア感染の防止
メールセキュリティソフトの導入により、企業に甚大な被害をもたらすマルウェア感染を避けられます。「ルックアウト株式会社」の調査によると、マルウェアに感染した際の損害額は、1台につき約100万円と言われています。アンチウィルス機能やスパム対策機能が、自動で悪意のあるメールを自動で振り分けて、感染を防ぎます。
・参照:「モバイル端末からの機密データ漏えいにおける経済的リスク」に係る調査結果を発表)
標的型攻撃の防止
メールセキュリティソフトの導入は、標的型攻撃への対策ともなります。標的型攻撃とは、機密情報を盗み取ることなどを目的として、個人や組織をターゲットとした攻撃です。添付ファイルなどを送信し、受信者がファイルを開くことで、ウィルスへ感染させるという手口です。メールセキュリティソフトでは、この標的型攻撃を検知した受信メールを検知し、自動的に排除します。
このように入口の段階で攻撃を防ぐメールセキュリティソフトは、ほかのセキュリティソフトで行われる出口対策と組み合わせるとより有効です。
まとめ
インターネットの目まぐるしい発展により、企業のコンピューター・電子機器などが、ウィルス感染や情報漏えいの危険にさらされる危険性は高まっています。特に電子メールは、リスクの発生しやすい分野と言えるでしょう。
メールセキュリティソフトを導入することで高度なセキュリティ対策が可能です。マルウェアへの感染対策、スパムメールの自動振り分けはもちろん、情報漏えいを誘発するメールの誤送信を予防する、さまざまな機能が利用できます。
「HENNGE One」は、メール送付前の一時保留をはじめ、暗号化やなりすまし・改ざんの検知など、セキュリティ対策が万全に施されたソフトウェアです。メールセキュリティソフトでお悩みなら、ぜひ一度検討してみてください。
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